2013年8月22日木曜日

本:「卵をめぐる祖父の戦争」デイヴィッド・ベニオフ


これ、好きだ。
やられた。
タイトルもいい。
「中庭の猟犬」とか「ラドチェンコの一生」とかにもできたはずなのに。
( ´艸`)

読後にすぐに読み返すなんてほとんど滅多にやらない。
最期まで読んで、小説の冒頭をすぐに振り返りたくなった。
解説にあったとおり「ニヤリ」とした。
解説にあったとおりといえば、途中でかなり泣きそうになった。

物語の舞台は、レニングラード包囲網のさなか。
900日間の攻防を経て、レニングラードはついに落ちなかったと言われた攻防戦。
外界と遮断された究極の飢餓の中での卵をめぐるひと騒動である。

戦争だから、いろんな悲惨なシーンがある。
それが、この物語の真の主人公である。
しかし、登場人物の愛嬌と、洒脱な語り口で悲惨が重い悲惨になるのを免れている。
でも、悲惨は悲惨だ。
えぐいのは、人肉ソーセージ工場となった人家、下顎を打ち砕かれてもまだ動くパルチザンなどなど。

お腹に杭で木箱を打ち付けられた犬たちの話も悲惨だ。
『ベルカ 吠えないのか?』を読んでひとしきり軍用犬の物語に感動した後なので、特に、人間魚雷ならぬ、犬魚雷となっていた犬たちの様子が印象に残った。
犬たちをあんなふうに使うな<`ヘ´>。

・・・とにかく、良い小説に出会った。
いつかあんなふうに書いてみたい。
(小説を書く、ということでなく)

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