2015年10月2日金曜日

守矢資料館のふわっとした感じと諏訪大社の肉のお祓い

















神長官守矢資料館では、

学芸員の方が常駐してらして

説明してくれるんだけど、

おもしろおかしい説明口調になりがちなのが

印象に残った。

「こんなんやったらしんですわ」

という感じで。


そういう感じなのかな、と思っていたら、

chin-delさんのブログにも似たようなことが

書いてあったので、ちょっと安心した。


結局、この資料館のことを

たのしくわかりやすく知りたい方は

こちらを参照くださればよろしいかと。

珍スポットをめぐり、撮影するモデルだから
チンデルさんというそう。

知性派美女のおもしろスポット巡りブログ。

このブログより全然面白いので、

そっち読んでればこっちのブログは

要らんようなものだが。


・・・・・・・

ところで、モリヤ色の強かった

諏訪大社の肉にまつわる儀礼だけど、

蛙狩神事が話題になるくらいで、

今ではすっかり下火になっていたのであった。


それは、前回の原田先生の議論によれば、

肉の文化の衰退であって、

下諏訪の宮などは、まったくの米の神事に

なっているのであって、下諏訪では肉の

雰囲気が上諏訪の本社ほども感じられなかった。

神事はやっぱり米が主となっていったのだろうか。


ところが、やっとひとつだけ、上でも下でも

諏訪大社に獣肉にまつわる神事を見つけることができた。

それは”鹿肉を食することの免状”である。





















写真は、神長官 守矢資料館用の印になっているが、

諏訪大社では、肉食のお払いの儀式

をやってくれるそうである。

お払いの儀式とともに、写真の免状がいただけるらしい。


連綿と肉の儀礼は続いてきたのだなーと

ひとり、感想を抱いていると、

全然違う経緯の話を聞いた。


肉のお祓いをやって、

料金設定まで広告するというのは、

最近までやってなかったそうで。

写真の免状も最近になって、
復活したそうである。


狂牛病騒ぎ以来、

世の中で、肉食の不安がたちあがってきたときに、

やおら、肉のお払いをやる神社ですよ、と、

かつての文化が再注目されたというべきか、

持ち出してきたというべきか。


神の効能も、日和見だなー。

首、首、首。首の陳列が意外に怖かわいい。守矢資料館。


















やっと来ました。 神長官 守矢資料館

諏訪めぐりで絶対行きたかったスポット。




この資料館の主目的は、

「猪鹿の首の羅列」

とか、

「串刺しのうさぎ」

とか、

「脳みそとか内臓の模型」

ではなく

”古代式の漆喰の建物の再現”にある。
らしい。


けど、明らかに狙ってると思う。


古代式とは、建御名方命が
諏訪にくる前くらいの古代。

展示の猪鹿の首や串刺しのウサギは、
諏訪大社前宮-本宮の「御頭祭」の
儀式の再現である。

日本のフィールドワーカーの元祖というか
風俗学の始祖というか、
菅江真澄が記録した諏訪大社の奇祭から
再現されているとゆーのである。

その奇祭とは、建御名方の来訪前の
地元文化だったと考えられている。

前記事の大祝(オオホウリ)という現人神や、
前宮-本宮の贄の儀式も、
地元文化の名残と考えられている。

で、その地元民を代表するのが「洩矢神」
モレヤノカミなのであった。

モレヤノカミはタテミナカタノカミがくるまでの
この土地の支配者であり、呪術者であった。

タテミナカタの支配となっては、モレヤ一族は、
神長官として、残ってきたというのである。

モレヤ一族は、
一子相伝ながら、呪術を伝え、
明治の頃まで怪しげな儀式を行っていた、
時の権力者により、禁止されるに至った。

ところで、モリヤ色といえる、
諏訪大社の前宮-本宮の神事は
日本の神社・祭礼のなかで、生贄の文化が
とても印象強いものになっている。
なぜなら、多くの神事は米にまつわる祭事
が占めるからである。

この特徴は、この土地に、
建御名方を代表とする天皇家の支配が及ぶ
それ以前の土着の文化の名残りである。

土着の文化とは、それは要するに
肉食の文化としてあったのである。

あるいは獣肉の文化というか。

原田信男先生の
『歴史のなかの米と肉-食物と天皇と差別』
の図式では、
建御名方の諏訪来訪と統治の物語は、
天皇家が代表する米の政治が、
土着の肉の文化を
徐々に凌駕していく歴史的転換点を示している。

御頭祭の猪や鹿や兎やさまざまな肉は、
儀礼のあと、神官たちが食していたそうだ。

その儀式は、現在では、酉の祭の贄膳や、
資料館の首たちのように剥製になったそう。


















・・・・・・・・・

またお勉強モードになってきたし、

一記事の容量制限になってきたみたいなので、

ちょっとした続きは、別の記事に。