2016年11月14日月曜日

(展)人間ポンプの映像は見なくっちゃ『見世物大博覧会』の2

1Fのフロアの半分は、特集・昭和の見世物興業団。

見世物小屋が並ぶ町は、タカマチと呼ばれ、
地域の興行権を持つ歩方との交渉が行われ、
歩方は掛け小屋の丸太の提供してくれる。

タカマチを共有する露天商の
香具師・テキヤと系統は別にし、
見世物小屋は独自の職業世界を形成していた。

明治から続く興行一家の名残りとして、
昭和には、5つの興行団が活躍していた。
藤平興行社・大寅興行社・多田興行社
団子家興行社・安田興行社。

藤平興行社は、狼に育てられた「狼少女」が
鶏を食いちぎる「パサツギ」芸が持ち味。
大寅興行社は、奇術・大蛇・犬と猿の
「魔宮殿」を構築する。
多田興行社は、タンカ(呼び込み)の名人の
アラタンカが有名。
団子家興行社は、「猿犬サーカス」や
「カッパ小僧」を目玉にしていた。

その中でも、安田興行社が
今回の展示の中心だった。


なつかしい「人間ポンプ」。








「イカ男とタコ娘」の
タコ娘の脚をはじめて近くでみた。
細い座布団みたいだった。





「熊娘」のチラシ

「普通一般ノ見世物ト同視サルコトヲ恥ス」
「人体研究普及ノ為」の「大破格観覧料」とされている。
「日野町 札の辻大窪」って滋賀の?









このほかにも
「へび娘」
「女流相撲」


南進座劇団 自来也物語のポスター。

「電気応用空中宙づり一年半の大ガマ」
ってどんな蛙やろう。


「牛人間」のポスターは
もっともらしさを満載にした一品。

提供は、「東京松竹芸能社」
主催は、「教化伝道普及会」
それ、なに?
後援は、「日本仏教連合会」と
「日本神秘霊威研究会」に「家畜愛護連合会」。

少なくとも愛護団体は、
この人体実験を許さないと思う。





「死美人の乳房劇」のポスター

戦前の、”貞子”の恐怖を味わえ!










・舞台からラジオ、映画、テレビへ
見世物界の栄枯盛衰が学べた。

最後の人間ポンプの
安田師匠の演舞映像の鑑賞もあり、

小沢昭一先生の民俗者ばりの
大道芸人の口上収集活動もとりあげられ、

楽しすぎる。





『見世物大展覧会』の1へもどる

(展)江戸の軽業は世界の軽業!江戸・明治の人形怖い!『見世物大展覧会』(1)

いわずとしれた、天下の国立民族博物館の開催です。
公園なのに、自転車も通してくれない万博公園、
入るだけで4・500円もする万博公園で、
以外に圧のある太陽の塔を眺めつつ、
別館の特設展示を見てきました。


こりゃもう昼飯代抜いて、
入館代にしなくっちゃ。









●1階フロアの半分は、
江戸の見世物ー軽業師の紹介から、
明治に入っても世界に紹介される様子まで。


江戸期までの見世物でも
独楽まわしのような曲芸は、
歌舞伎の物語と
セットになっています。







●その他に、江戸期の曲芸の絵を見てると、
軽業がたくさんあるのだけど、
今回の展示では、
猿回しのような、動物使いは
江戸期の分にはありませんでした。




●2階ブースではものづくりを
ほとんどランダムに紹介していて、
いちばんおそろしかったのは、
江戸期のからくり人形のお姿でした。

この写真だと、かわいらしくも見えますが、
実際は、上から光があたっているので、
なんともいえず
おそろしげな表情にしか見えませんでした。



おそろしいといえば、もうひとつ、

「生人形」も
生きた生首みたいで気持ち悪かったけど、
明治の頃には、
本物そっくりな人形の見世物があったそうです。




やがて、映像系エンタメが出てくると、
こういう見世物は消えていくそうですが、
菊人形や、マネキン人形の開発に
進む動きもあったそうです。


●全般に、文明開化から見世物界の影響・変動もあり、
例えば、サーカス団が日本を訪問し、
日本の軽業界に影響を与えます。

一方、日本の軽業師たちが
ヨーロッパ興行も行います。

動物見世物では、駱駝ブームを筆頭に、
珍獣見世物も流行っていたのですが、
やがて、動物園の席捲が起こります。

舞台系の見世物も、
だんだん映像系(映画・テレビ)の影響を受けるようになるのでした。

(その2 につづく)