2014年12月17日水曜日

(展)バルデュス展はもちろん行ってきた

年末で、書き溜めた日記のそうざらえ

●バルデュス展はもちろん行ってきた。
もちろん、前知識なし。
派手な広告の絵につられたようなものだけど。
美術館行く自分って高尚ー、みたいな感じだけど。

でも、そんな自分でも初見でいろいろ考える展示だった。
作者がスター扱い、作者自身の写真がかっこ良過ぎ、ビデオも渋すぎ、鼻につく。
でも、たしかに作品すごい。


●少年期の「mitsou」かわいい。
 

かわいいつながりで、ファンタジックで印象に残る「cats and girls」(1949)














ますむらひろしさんの「アタゴオル」を思い出したのは私だけではないだろう。
でもアタゴオルは1970年代の連載開始だから、こっちのほうが古いのか。
斬新だなー。”猫男”と僕は呼ぶ。


●コミック的というと、初期の作品に「嵐が丘」の小説の挿絵があって、なんかデッサンがくずれたような感じに魅入ってしまう。



















「諸星大二郎・・・」。これらの挿絵を見ながら、尊敬する漫画家の画風を思い起こしていた。


●ところで、このバルデュルス氏は、同じ構図をいろいろと書き直す作家のようであった。




















バルデュス本人が描かれているとか、人物の描写でとりわけ女性の肌に象徴される白が体の輪郭からにじみ出ているとか、 裸身を描くというセンセーショナルなどいろいろ解説されていた。
代表的な図らしい。
これが、一つ前の挿絵の構図と同じである。


●さらにそのひとつ前の挿絵と同じ構図もいくつもあって、






















と、同じ姿勢の女性が何度も描かれている。

そして、描かれた顔がなんか怖い。


●ときどき顔が怖い絵がある。特に女性。
頭に残ったのは、ヨーロッパ時代の若かりしころに描く女性の、壊れ(壊し)具合である。

禍々しいとまで、感じた。
 



















展示にはなかったと思うけど、後でwikiで見た上の「guitar lesson」はかなり衝撃的。

なんか、特に女子を破壊的に描くように感じる。

ポーズ自体が、なぜ、このポーズを選ぶ?と思う。
















グッズの図柄にもよく使われていた上の「テレーズの娘」は、色使いや構図の華やかさ、テーマモチーフの猫の登場などが解説されていた
僕自身は、近くで見て正直衝撃を受けた。
スカートの中のパンツまでこうまで執拗に描くのは、どういう感覚やねん・・・

悪意・・・というか、破壊の意思みたいなものを感じるんだけど・・・とにかく、すごく攻撃的に感じる。

描かれた女性のポーズや表情に、描く目線が持つ破壊性や攻撃性を感じるのであった。



●そのように攻撃性や破壊性を感じたのだが、晩年の日本時代になると、日本女性と結婚し描かかれるもののなかに、質の違ったものを感じるようになる。















 さっき、紹介したうつむき加減の女性たちに構図自体は似ている気がする。

けど、姿形はもっともっと崩れていて、そして、色自体がさらに輪郭と外界が滲みあって混合している・・・
破壊性というより、溶解性という言葉が浮かんできたのだった。



●あーおもしろかった。バルデュス展。初見なのに。
作品のふり幅の大きさと、作品と連動した作者の生き様を感じる。
もっともっと深いんだろうな。

ほかにも、いろいろ考えたんだけど、最後に気に入った絵をあげて終わり。
「崖」です。
















ちょっと近くでも、かなり離れても、光に照らされる木と岩壁が眩しかったです。
美しかった。