2013年2月7日木曜日

卒論審査のこと

演習クラスの方へ
卒業論文お疲れ様でした。

今回は卒論での確認のまとめ記事です。

■クラスの他のメンバーの提出卒論を読んでみたいという意見がありましたが、このブログで公開すると、一般公開になってしまいます。
そこで、閲覧するには面倒ですが、大学サイトの電子会議室にファイルごと展示します(この会議室は、3月末で次年度への更新のため自動的に閉鎖されます)。
展示っていっても、ダウンロードして閲覧になります。
PDFファイルなので、スマホでもブラウザで普通に閲覧できるのではないでしょうか。
ゼミで発表しているようなものと考えてください。

■ところで、クラスのなかでどれかひとつを最優秀として選ぶのはほんとに難しいのですが…
該当なし、というのも、せっかく書いたのに寂しいし…(該当なしって芥川賞・直木賞の選考みたいで、賞の権威性を訴えるかっこいいと思うけど)。

以下に、先日コメント内容を記録しておきます。もしも感想や意見があったら、言ってください。


□前半

出生前診断はどうあるべきか
出生前診断に対する見解は明快。資料も充実。
海外から出生前診断導入のモデルを学ぼうとするにあたって、日本社会の課題とは何か。事例から診断にまつわる偏見や逡巡というリアルな問題を描ければもっと良かった。

若者の酒離れの社会的背景
創造的取材が印象的。
コミュニケーションをとりもどすツールとして、なぜ酒が重要かもうひとつ説得力がほしい。

かわいいを求める女たち
課題の着眼と論説のポイントや議論の深みが特徴。
「かわいい」は一過性の一部の集団からの流行ではなく、日本社会特有の階層化によって支持されてきた。特有の社会階層のもつ社会的性格や価値に見合うようなコミュニケーションのスタイルとして「かわいい」がある。

「聖地巡礼」を通してアニメによるまちづくりを考える
課題の整理と論説が明快にまとまっている。
2次元の世界に関心あるアニメファンが、3次元の現実世界での交流を通してまちづくりに参加してきた。バーチャルな地域社会を背景としたアニメのファンと、リアルな地域社会はどのように結びつくことができるか。アニメファンがアニメに希求する点から議論。

スポーツにおける逸脱行動の現状
ドーピング問題の事例と課題を整理。
ドーピングというスポーツの逸脱行動をとりあげることで、社会がスポーツに期待する規範性の在り方、または逸脱とバッシングする線引きの困難など、社会の在り方への言及が欲しい。

ディズニー文化の登場と課題:
ディズニー作品の歴史的概観から、継続する課題として人種差別・盗作などの問題を指摘。見解は明快。
盗作問題について倫理的罪悪としてのみとらえるのでなく、作品としての社会的価値を指摘。この点から、人種差別問題も作品への時代(社会)性の反映ととらえ、社会の変容のなかでの人種差別の様子を語るという方向もありえた(黒人・先住民・障害者→女性)。ディズニー作品が社会の影響を受け、ディズニーが社会へ影響を与える様子の記述へと整理できれば。

ファストファッションと日本のアパレル業界:
ファストファッションの受け皿としての人々の変化…つまりファッションの普及(おしゃれの普及:百貨店との対比で言えば、いわば大衆化…ファスト化していくこと)について情報が少ない。

河童の誕生と社会的意味の変遷:
歴史的資料の楽しさ。
近世にイメージ像が完成し、そして現代でのキャラクター利用の特質と変容。近代における妖しのものの変容がもっとも重要になってくるのではないのか。その点の資料・言及がほしかった。

後半の記事に続く


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